令和8年度の改定は「期中改定」だった
令和8年度(2026年度)の障害福祉サービス等報酬改定は、3年に1度の本体改定ではなく、令和9年度改定を待たずに行われた期中の見直しです。施行は令和8年6月。中身は次の2点に絞られています。
- 福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充
- 収支差率が高く事業所が急増しているサービス類型への「応急的な報酬単価」の適用
グループホーム(共同生活援助)は、この2つの両方に関係します。改定前に語られがちだった「医療連携強化加算の新設」「重度者支援体制加算の新設」といった新しい加算は、令和8年度改定には含まれていません。
変更点1:新規指定のGHは基本報酬が1000分の972に
応急的な報酬単価は、令和8年6月1日以降に新規指定された事業所に限って適用されます。対象は就労継続支援B型、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)、児童発達支援、放課後等デイサービスの4類型です。
共同生活援助の単位数は所定単位数の1000分の972。計算すると次のようになります。
- 1 − 972 ÷ 1000 = 0.028 → 2.8%の引き下げ
- 所定単位数が1日500単位の利用者なら、500 × 972 ÷ 1000 = 486単位/日(▲14単位/日)
- 10人が30日利用する事業所では、14 × 10 × 30 = ▲4,200単位/月
- 1単位10円の地域単価で換算すると月42,000円、年間で約50万円の差(単位単価は地域区分で異なるため、自事業所の単価で計算し直してください)
令和8年5月31日以前に指定を受けた既存事業所は従前どおりです。新設や多店舗展開を計画している場合だけ、収支計画の前提を置き換える必要があります。
従前の単価が維持される「配慮措置」
新規指定でも、次に当たる場合は従前の単価が適用されます。
- 重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、医療的ケア対応支援加算、医療連携体制加算(Ⅳ) を算定する利用者に係る基本報酬
- 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所
- 離島・中山間地域の事業所、自治体が必要と認めて設置する事業所
医療ニーズの高い利用者を受け入れている事業所ほど、引き下げの影響が小さくなる設計です。
変更点2:福祉・介護職員等処遇改善加算の拡充
正式名称は福祉・介護職員等処遇改善加算で、区分は (Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)イ・(Ⅱ)ロ・(Ⅲ)・(Ⅳ) の6区分です。単位/日ではなく、総単位数に対する加算率で計算します。
| 区分 | 介護サービス包括型・日中サービス支援型 | 外部サービス利用型 |
|---|---|---|
| (Ⅰ)イ | 163/1000 | 227/1000 |
| (Ⅰ)ロ | 169/1000 | 233/1000 |
| (Ⅱ)イ | 160/1000 | 224/1000 |
| (Ⅱ)ロ | 166/1000 | 230/1000 |
| (Ⅲ) | 144/1000 | 208/1000 |
| (Ⅳ) | 121/1000 | 168/1000 |
令和8年度改定での変更は、①対象を福祉・介護職員から障害福祉従事者へ拡大、②生産性向上・協働化に取り組む事業者への上乗せ区分として (Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロを新設、③計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援に処遇改善加算を新設、の3点です。
計算例(介護サービス包括型・月の総単位数が15,000単位の事業所)
- (Ⅰ)イ:15,000 × 163 ÷ 1000 = 2,445単位/月
- (Ⅰ)ロ:15,000 × 169 ÷ 1000 = 2,535単位/月
- 差は90単位/月。上乗せ区分を取るかどうかは、生産性向上・協働化の要件を満たす手間と見合うかで判断します
厚生労働省の資料では、福祉・介護職員について最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げにつながる水準と説明されています。
既存事業所がいま確認すること
- 自事業所の指定日が令和8年5月31日以前か(=応急的な報酬単価の対象外か)
- 処遇改善加算を(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロへ上げられる余地があるか、賃金改善の対象者を障害福祉従事者まで広げたか
- 新規開設を検討している場合、収支計画の基本報酬を1000分の972で引き直したか
- 重度障害者支援加算・医療的ケア対応支援加算・医療連携体制加算(Ⅳ)の要件を満たす利用者がいないか
まとめ
- 令和8年度改定は令和8年6月施行の期中改定。中身は処遇改善加算の拡充と応急的な報酬単価の2本だけ
- 新規指定GHの基本報酬は所定単位数の1000分の972(2.8%の引き下げ)。既存事業所は従前どおり
- 処遇改善加算は6区分・加算率で計算する。単位/日ではない
- 新加算の創設や基本報酬の一律引き上げは令和8年度改定には無く、次の本体改定は令和9年度
出典
- 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001658029.pdf
- 同 単位数表(令和8年6月版) https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001658031.pdf
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省告示第523号/最終改正 令和8年3月31日・令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1
