なぜGHで外国人材採用が注目されているのか?
障害福祉分野の有効求人倍率は全国平均を大きく上回る水準が続いており、GHの世話人・生活支援員の採用難は年々深刻化しています。厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)によれば、外国人労働者数は204万8,675人と過去最高を更新し、うち医療・福祉分野は8万6,556人(前年比18.8%増)と、産業別でも高い伸び率を示しています。
GHにおいても、特定技能・技能実習・身分系在留資格を持つ外国人材の採用が現実的な選択肢になりつつあります。ただし在留資格ごとに業務範囲や配置基準への算入可否が異なるため、正しい理解なしに採用を進めると後から行政指摘を受けるリスクがあります。
GHで受け入れ可能な在留資格にはどんな種類がある?
| 在留資格 | 主な特徴 | 在留期間 | 配置基準への算入 |
|---|---|---|---|
| 技能実習(介護職種) | 技能移転が目的、実習計画に基づき就労 | 最長5年 | 一定要件下で世話人等に算入可 |
| 特定技能1号(介護) | 即戦力人材、介護技能評価試験に合格 | 通算5年 | 世話人等に算入可(サビ管等は不可) |
| 特定技能2号 | 熟練技能者、家族帯同可 | 更新制限なし | 2024年時点で介護分野は対象外 |
| EPA介護福祉士候補者 | 経済連携協定に基づく候補者 | 最長4年(延長要件あり) | 業務内容により算入可 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士資格保有者 | 更新制限なし | 通常の職員と同様に算入可 |
| 身分系(永住者・定住者・日本人配偶者等) | 就労制限なし | 制限なし | 通常の職員と同様に算入可 |
受け入れ前には必ず自治体の指定担当課に「この在留資格・業務内容で配置基準に算入できるか」を書面またはメールで確認し、記録を残しておくことをおすすめします。
受け入れ体制づくりの7つのチェックポイント
- 在留資格と業務範囲の確認:担当できる業務・配置基準への算入可否を自治体に確認したか
- 日本語能力の見極め:業務指示や記録が理解できる水準(目安N3〜N4以上)か、面接で確認したか
- 生活支援体制の整備:住居確保、銀行口座・携帯電話契約、行政手続きの同行体制があるか
- 業務マニュアルの多言語化:服薬対応や緊急時対応など重要業務は、やさしい日本語・多言語で整備したか
- 相談窓口・メンター制度:業務外の悩みも相談できる担当者を配置したか
- 法定研修の多言語対応:虐待防止・感染症対策などの研修を理解できる形で実施しているか
- キャリアパスの提示:介護福祉士資格取得支援や昇給ルールを明示しているか
この7項目のうち1つでも欠けると、早期離職や意思疎通のトラブルにつながりやすいため、採用前に全項目を確認しておくことが重要です。
特定技能1号は何が「義務」になっているのか?
特定技能1号で受け入れる場合、受入れ機関(または委託先の登録支援機関)には以下10項目の支援実施が省令で義務付けられています。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きへの同行
- 日本語学習の機会提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期面談・行政機関への通報
これらを自社で全て担うのが難しい場合は、登録支援機関へ委託することも可能です。GH単体でのリソースが限られる場合は、委託を含めた体制設計を検討しましょう。
定着支援で成果を出すためのポイント
- 日本語学習支援:勤務時間内に学習時間を確保する、教材費や日本語教室の費用を一部補助する
- 多文化理解研修:受け入れる既存職員側にも、文化背景の違いを理解する研修を実施する
- 記録業務の負担軽減:ICTを活用した記録の簡素化、テンプレート化
- 孤立防止:同郷の職員がいない場合は、オンラインでのコミュニティ紹介や定期的な1on1面談を実施する
法定研修についても、動画教材に多言語字幕を付けられるオンライン研修SaaSを活用すれば、外国人職員の理解度を高めながら受講履歴を一元管理できます。
まとめ
外国人材採用はGHの人手不足対策として有効な選択肢ですが、在留資格ごとの業務範囲・配置基準への算入可否を事前に確認しないままでは行政指摘のリスクがあります。7つのチェックポイントを軸に受け入れ体制を整え、日本語学習支援と生活支援を両輪で進めることが定着率向上の鍵となります。制度対応に不安がある場合は、社会保険労務士や登録支援機関、加算取得コンサルタントへの相談も検討しましょう。
出典
この記事で扱う制度・報酬の一次資料です。数値や要件は公開時点のものなので、最新の内容は原典でご確認ください。
- 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号)新旧対照表」 https://www.mhlw.go.jp/content/000789565.pdf
- デジタル庁 e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)e-Gov法令検索」 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
