TL;DR
- GHの収支は「報酬収入(基本報酬+加算)-支出(人件費・家賃・水光熱費等)」で構成される
- 定員10名モデルでは入居率75〜80%前後が損益分岐点の目安
- 加算取得率と人員配置の効率化が黒字化のカギを握る
GHの収支構造はどうなっているのか?
障害者グループホームの収支は、大きく「収入」と「支出」の2つの柱で構成されます。
収入の内訳
| 項目 | 内容 | 目安単価(1日あたり) |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 障害支援区分・定員規模に応じて算定 | 500〜900円 |
| 夜間支援等体制加算 | 夜間の支援体制に応じて算定 | 100〜300円 |
| 医療連携体制加算 | 看護師・医療機関連携による加算 | 39〜500円 |
| 都道府県独自加算(例:東京都) | 自治体独自の上乗せ加算 | 330円(都加算) |
| 利用者負担・家賃収入 | 自己負担分・家賃補助控除後 | 施設により異なる |
基本報酬に加え、各種加算を積み上げることで初めて安定した収益構造が成立します。加算を取得していないGHは、同規模でも月間収益に数十万円単位の差が出るケースも珍しくありません。
支出の内訳
- 人件費(世話人・生活支援員・サービス管理責任者・管理者):支出全体の60〜70%
- 家賃・地代:10〜15%
- 水道光熱費・食材費:10%前後
- 研修費・その他運営費:数%
人件費比率が高い業態であるため、人員配置の最適化と業務効率化が収支改善の最重要ポイントとなります。
損益分岐点はどう計算すればよいのか?
損益分岐点とは「収入と支出が均衡する入居率・稼働率」のことです。以下の簡易式で概算できます。
損益分岐点入居率(%) = 固定費 ÷ (定員数 × 1人あたり報酬単価 × 30日)
定員10名モデルのシミュレーション例
| 入居率 | 月間収入目安 | 月間支出目安 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 60% | 約180万円 | 約220万円 | -40万円 |
| 75% | 約225万円 | 約220万円 | ±0円前後 |
| 90% | 約270万円 | 約230万円 | +40万円 |
※上記は基本報酬+一部加算を含んだ概算値であり、地域・障害支援区分により変動します。
この表から分かる通り、入居率75%前後が損益分岐点の目安となり、それ以下では赤字リスクが高まります。特に開設初期は入居率が安定しないため、固定費を抑えた運営設計が重要です。
収支を改善するにはどんな打ち手があるのか?
1. 加算取得率を高める
加算の取りこぼしは収支悪化の大きな要因です。特に以下の加算は取得漏れが多い傾向にあります。
- 医療連携体制加算(看護師や医療機関との連携体制が必要)
- 夜間支援等体制加算(夜間の見守り体制の整備)
- 自治体独自加算(東京都の都加算330円/日など)
加算要件は年々複雑化しており、精神保健福祉士の配置や医師との連携体制構築が求められるケースが増えています。株式会社Anchorでは、精神科オンライン診療(月2回)の提供や都加算届出支援、精神保健福祉士配置支援を通じて、加算取得のハードルを下げる支援を行っています。
2. 人件費の最適化
- 夜間オンコール体制を外部委託し、常駐人員を最小化する
- 世話人の勤務シフトを入居率に応じて柔軟に調整する
- 法定研修をSaaS化し、研修管理コストを削減する
夜間の緊急対応体制は法令上必須ですが、自社で15名規模の当直人員を確保するのは中小規模のGHには大きな負担です。外部のオンコール代行サービスを活用することで、固定費を変動費化し、損益分岐点を引き下げる効果が期待できます。
3. 入居率の安定化
- 相談支援事業所との連携強化による紹介経路の複線化
- 退去リスクの早期発見(個別支援計画の定期見直し)
- 医療機関との連携による入居者の状態安定化
まとめ
GH運営の収支は、入居率・加算取得率・人件費比率という3つの変数によって大きく左右されます。定員10名規模では入居率75〜80%が損益分岐点の目安ですが、加算取得を最大化し、夜間体制や研修管理を効率化することで、この分岐点を引き下げることが可能です。収支改善を検討する際は、まず自施設の加算取得状況と人員配置を棚卸しすることから始めましょう。
