都加算の正式名称は「精神科医療連携体制加算」
東京都が国の報酬とは別に設けている加算で、正式名称は精神科医療連携体制加算、単価は330円/日です。都基準日数に対して算定し、入院・外泊時も対象になります。
「都加算」という通称で呼ばれるため、国の医療連携体制加算と混同されがちですが、根拠も要件もまったく別のものです。
要件は「月1回以上の連携」と「記録の5年保存」
都加算の中心にある要件はこの2つです。
- 月1回以上、対象の利用者を支援する精神科医療機関との連携を行うこと
- その記録を5年間保存すること
連携として認められる形には、次のようなものが含まれます。
- 支援会議への出席
- 通院への同行
- 通院の支援
- 電話連絡
連携の相手は主治医に限りません。協力医療機関や、精神科訪問看護を行う訪問看護ステーションの訪問看護職との連携も対象になります。一方で、精神科以外の診療科への受診は対象外です。
よくある誤解:「精神科医の月2回以上の訪問・面接」は要件ではない
解説記事などで「精神科医による月2回以上の訪問または面接が必要」と書かれていることがありますが、これは都の要件ではありません。 求められているのは事業所側が月1回以上の連携を行い、その事実を記録に残すことです。医師の訪問回数を条件だと思い込むと、実現できないと判断して取り逃がすことになります。
職員の配置は「社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師等」
配置要件として求められるのは、社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師等の有資格者です。常勤・非常勤のいずれでも構いません。
ここで注意が必要なのは、保健師・看護師・准看護師・介護福祉士は対象資格に含まれていない点です。「看護師がいるから取れる」という前提は成り立ちません。自事業所の職員名簿で、対象資格を持つ人がいるかを先に確認してください。
併給制限:看護職員配置加算・医療連携体制加算(Ⅶ)とは選択になる
看護職員配置加算または医療連携体制加算(Ⅶ)を東京都に届け出ている事業所は、都加算を算定できません。
どれを選ぶかで収入が変わるため、届出の前に並べて比べます。10人が30日利用する事業所で、単位を1単位10円と仮定した場合の計算は次のとおりです(単位単価は地域区分で異なるため、必ず自事業所の単価に置き換えてください)。
| 選択肢 | 単価 | 1か月(10人×30日) |
|---|---|---|
| 都加算(精神科医療連携体制加算) | 330円/日 | 330 × 10 × 30 = 99,000円 |
| 医療連携体制加算(Ⅶ) | 39単位/日 | 39 × 10 × 30 = 11,700単位 → 117,000円 |
| 看護職員配置加算 | 70単位/日 | 70 × 10 × 30 = 21,000単位 → 210,000円 |
金額だけを見れば看護職員配置加算が大きく見えますが、常勤換算1以上の看護職員の人件費が必要です。都加算は有資格者の配置と月1回以上の連携で成立するため、精神障害のある方が中心の事業所では、実務の負担に対して割のよい選択肢になり得ます。 自事業所の人件費・委託費の実額を入れて比較してください。
届出の前に確認すること
- 対象となる利用者の範囲(誰の分を算定できるか)
- 連携記録の様式:いつ・誰が・どの医療機関と・どんな連携をしたかが1行で追えるか
- 5年間の保存場所と、担当者が替わっても残る保管方法
- 配置する有資格者の資格証の写しと雇用形態の確認
- 看護職員配置加算・医療連携体制加算(Ⅶ)を都に届け出ていないか
都加算の要件・様式・提出先は年度ごとに改定されます。届出の前に、必ず東京都の資料(グループホーム説明会資料・取扱要領)で最新版を確認してください。 本記事は令和8年度版の説明会資料に基づいていますが、取扱要領の最新改正版の原文までは確認できていません。個別の判断は東京都・区市町村の担当窓口に照会するのが確実です。
まとめ
- 都加算の正式名称は精神科医療連携体制加算、330円/日。入院・外泊時も対象
- 要件は月1回以上の精神科医療機関との連携と、記録の5年保存
- 精神科医による月2回以上の訪問・面接は要件ではない
- 配置は社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師等。看護職・介護福祉士は対象資格ではない
- 看護職員配置加算または医療連携体制加算(Ⅶ)を都に届け出ていると算定できない
- 最新の要件は東京都の資料で必ず確認する
出典
- 東京都福祉局「東京都障害者グループホーム説明会 資料4 国報酬・都加算の概要について≪令和8年度版≫」 https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/Download.php?sqid=3728
- 東京都障害者グループホーム制度 取扱要領(第13条) https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/Download.php?sqid=3421
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省告示第523号/最終改正 令和8年3月31日・令和8年6月1日適用) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8477&dataType=0&pageNo=1
- 厚生労働大臣が定める施設基準(平成18年9月29日厚生労働省告示第551号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=83aa8504&dataType=0&pageNo=1
