• GHに褥瘡関連の加算はないが、褥瘡リスクへの備えは日常ケアの一部
  • 記録の型化は、医療連携体制加算(VII)の運用や運営指導対策にもそのまま効いてくる

なぜGHで褥瘡予防が見落とされやすいのか?

GH(共同生活援助)の支援は生活支援・精神面のサポートが中心で、皮膚状態の観察は業務として習慣化されていない事業所が少なくありません。世話人・生活支援員は医療職ではないため、「気づいてはいたが記録に残っていない」「誰にどう報告すればよいか決まっていない」という状態になりがちです。

一方で、入居者の高齢化や身体合併症のある方の受け入れが進む中、長期臥床傾向・低栄養・活動量の低下といった褥瘡のリスク要因を抱える入居者は確実に増えています。褥瘡は悪化すると医療機関での治療が長期化し、本人のQOLにも事業所の支援体制にも大きな負担となるため、「早く気づいて記録し、医療につなぐ」仕組みづくりが重要です。また、褥瘡は栄養状態とも関係が深く、食事量の低下が続く入居者では皮膚の脆弱化が進みやすくなります。食事の記録と皮膚観察の記録をあわせて見る習慣も、早期発見の助けになります。

褥瘡予防の基本サイクルとは?

医療機関で使われている褥瘡対策の考え方は、「評価→計画→実施→記録」のサイクルに整理できます。GHでも次のように応用できます。

段階GHでの実践例
リスク評価入居時・定期(月1回など)・状態変化時に、臥床時間や皮膚状態を確認する
計画リスクのある入居者について、観察頻度と報告先(看護師・主治医等)を決める
実施日常支援の中で発赤・皮膚の変化を観察し、気づきを共有する
記録部位・状態・写真・対応内容を決まった様式で残す

ポイントは、医療的な判断を世話人が抱え込まないことです。「観察して記録し、医療職へつなぐ」までがGHの役割と割り切ると、運用が続きやすくなります。サイクルといっても大がかりな仕組みは不要で、既存の支援記録に「皮膚状態」のチェック欄を1つ足すことからでも始められます。

記録で差がつく3つのポイントとは?

ポイント1:評価と記録のタイミングを固定化する

  • 入居時・月1回定期・状態変化時の3タイミングで統一
  • カレンダー管理ツールでアラートを設定し「記録漏れゼロ」を目指す

ポイント2:全員が同じフォーマットを使う

  • 部位・大きさ・皮膚の状態・写真の4項目を必須化
  • 世話人・生活支援員の誰が記録しても同じ粒度で経過が追えるようにする
  • 写真は同じ角度・同じ距離で撮影し、大きさが比較できるよう定規等を写し込む。撮影データの保存先と個人情報の取り扱いルールも事前に決めておく

ポイント3:医療職との共有記録を「決定事項ベース」で残す

  • 相談の経過よりも「次回までに何をするか」を明記
  • 看護師・医師からの助言内容と担当者を紐づける

医療連携と運営指導にどうつながるか?

こうした記録の型化は、褥瘡対応だけにとどまらないメリットがあります。

  • 医療連携体制加算(VII)の運用:看護師・オンライン診療医との情報共有記録の質が上がり、連携実績が形として残る
  • 運営指導対策:記録の一貫性・網羅性は、褥瘡に限らずすべての指摘事項の予防になる
  • 職員の安心感:報告・記録のルールが明確になることで、医療職でない職員の不安が減る

運営指導では「気づいた後にどう対応したか」の流れが記録で追えるかが確認されるため、観察記録と医療職への報告・相談記録がつながっていることが重要です。

まとめ

GHには褥瘡関連の加算はありませんが、入居者の高齢化・身体合併症の増加を踏まえると、褥瘡の予防と早期発見はこれからのGH運営に欠かせない視点です。評価タイミングの固定化、フォーマット統一、決定事項ベースの共有記録という3つの記録術は、日常ケアの質を底上げし、医療連携体制加算(VII)の運用や運営指導対策にもつながります。まずは「観察して記録し、医療につなぐ」流れを、様式1枚から始めてみてください。

出典

この記事で扱う制度・報酬の一次資料です。数値や要件は公開時点のものなので、最新の内容は原典でご確認ください。

  • デジタル庁 e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)e-Gov法令検索」 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号)新旧対照表」 https://www.mhlw.go.jp/content/000789565.pdf