重度障害者支援加算とは何か?

重度障害者支援加算は、行動上著しい困難を有する重度の障害者を受け入れる共同生活援助(GH)事業所に対して、専門的な支援体制を評価する加算です。強度行動障害のある入居者は、支援の専門性が求められる一方で受け入れ先が限られており、加算取得は事業所にとって収益面だけでなく、地域における役割を明確化する意味も持ちます。

加算の算定にあたっては「対象者要件」と「人員要件」の両方を満たす必要があり、どちらか一方が欠けても算定できません。

対象者要件は何を満たせばよいか?

加算の対象となる入居者は、以下の要件を満たす方です。

要件項目内容
障害支援区分区分6に該当
行動関連項目合計点数10点以上
判定方法市町村の区分認定調査結果に基づく

行動関連項目とは、「コミュニケーション」「説明の理解」「異食行動」「他人を傷つける」など、日常生活で見られる行動上の困難さを点数化したものです。区分認定調査の際にすでに記録されているため、まずは入居予定者・入居者の認定調査結果を確認することが第一歩になります。

人員要件:強度行動障害支援者養成研修修了者の配置

対象者要件を満たしていても、事業所側に専門性のある職員がいなければ加算は算定できません。具体的には以下の研修を修了した職員の配置が求められます。

  • 基礎研修(目安:約12時間):強度行動障害の基本理解、環境調整の考え方
  • 実践研修(目安:約16時間):個別支援計画の作成演習、行動障害への具体的対応

これらの研修は都道府県または指定研修機関が実施しており、受講申込から修了までに数か月を要することが一般的です。対象者の入居が見込まれる段階で、早めに職員の受講計画を立てておく必要があります。

申請手順はどう進めるか?

実務上の流れは以下の4ステップです。

  1. 対象者の要件確認:区分認定調査結果から行動関連項目の点数を確認
  2. 研修修了者の配置:基礎研修・実践研修を修了した職員を最低1名確保
  3. 個別支援計画への反映:重度障害者支援に関する具体的な支援内容・目標を計画書に明記
  4. 自治体への届出:体制等状況一覧表、研修修了証の写し等を添えて算定開始日の前月までに提出

届出書類の様式は自治体ごとに異なるため、事前に管轄自治体の障害福祉担当窓口へ確認しておくと手戻りが少なくなります。

申請でつまずきやすいポイント

  • 研修修了者の退職リスク:唯一の修了者が退職すると加算要件を満たせなくなるため、複数名の育成が望ましい
  • 記録の不備:支援記録が行動関連項目の状態像と整合していないと運営指導で指摘される
  • 計画書の形骸化:個別支援計画に加算の趣旨に沿った具体的な支援内容が書かれていないケース

記録・計画の整合性は運営指導でも重点的に確認される部分であり、日々の支援記録の書き方について職員研修を行っておくことが重要です。

まとめ

重度障害者支援加算は、障害支援区分6かつ行動関連項目10点以上という明確な対象者要件と、強度行動障害支援者養成研修修了者の配置という人員要件を両立させて初めて算定可能になります。研修受講には時間がかかるため、対象者の受け入れが見込まれた段階から準備を始めることが、スムーズな加算取得の鍵となります。

出典

この記事で扱う制度・報酬の一次資料です。数値や要件は公開時点のものなので、最新の内容は原典でご確認ください。

  • 厚生労働省「強度行動障害支援者養成研修事業の実施について(平成29年8月3日障発0803第1号・改正後全文)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001270358.pdf
  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日障発第1031001号)新旧対照表(令和8年度改定)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001705650.pdf
  • デジタル庁 e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)e-Gov法令検索」 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123