個別支援計画未作成減算とは?どんなペナルティがあるのか

個別支援計画未作成減算は、指定基準で定められた個別支援計画が作成されていない場合に適用される運営基準減算の一種です。厚生労働省の報酬改定に関する留意事項通知では、以下のとおり定められています。

未作成期間算定率実質減算率
1〜3ヶ月目所定単位数の95%5%減算
4ヶ月目以降所定単位数の70%30%減算

30名規模のGHであれば、月間報酬が数十万円単位で目減りするインパクトがあります。しかも一度未作成状態になると、是正までの間ずっと減算が継続する点が実務上の大きなリスクです。

なぜ個別支援計画は「未作成」になりやすいのか?

現場でヒアリングすると、未作成減算に陥る原因はパターン化しています。

  • サビ管が他業務(世話人業務・夜間対応)を兼務し、計画作成の時間が確保できない
  • 複数事業所を掛け持ちしており、期限管理が属人化している
  • モニタリング会議の日程調整が入居者・家族・医療機関との間で難航する
  • 計画更新のタイミングをExcel台帳等で手動管理しており、更新漏れに気づかない
  • サビ管の急な退職・休職により後任が決まらず空白期間が発生する

特に多いのが「本人・家族への説明・同意」のステップで止まってしまうケースです。会議までは開催できても、同意書の取得が遅れることで交付日がずれ込み、結果として計画未作成期間が発生します。

個別支援計画作成の法定スケジュールとは?

個別支援計画の作成プロセスは、おおむね以下の流れで進みます。

  1. アセスメント(入居者の生活状況・意向の把握)
  2. 個別支援計画案の作成
  3. サービス担当者会議の開催(多職種連携)
  4. 本人・家族への説明と同意取得
  5. 計画の交付
  6. モニタリング(原則6ヶ月に1回以上)
  7. 計画の見直し・更新

新規入居時は契約から計画作成までの期限が定められているため、入居受け入れ時点からスケジュールを逆算して動く必要があります。更新については、モニタリング時期を起点に「会議→同意→交付」までの標準所要日数(目安2〜3週間)を見込んで前倒しで着手することが重要です。

未作成を防ぐスケジュール管理の実践方法

未作成減算を防ぐには、属人的な管理から仕組み化への転換がポイントです。

① 一覧表による期限の可視化

入居者ごとに「前回作成日」「次回モニタリング期限」「同意取得状況」を一覧表にまとめ、月次で管理者・サビ管が共同でチェックする体制を作ります。

項目管理のポイント
作成期限入居契約日から起算し、逆算でリマインド設定
モニタリング期限6ヶ月ごとに自動アラート
同意取得会議実施日から1週間以内を目標値に設定
交付記録交付日・受領サインの台帳化

② リマインドの二重化

期限の1ヶ月前・2週間前・当日の3段階でリマインドを設定し、サビ管が不在でも管理者が気づける体制にします。紙の台帳だけに頼らず、クラウドカレンダーやタスク管理ツールとの併用が効果的です。

③ サビ管業務の負荷分散

計画作成業務が特定の担当者に集中しないよう、アセスメント・会議調整・記録作成の一部を生活支援員が補助する役割分担を明確にしておくと、サビ管の作成業務に割ける時間を確保しやすくなります。

ICTツール・外部支援の活用

手作業でのスケジュール管理には限界があります。複数事業所を運営している場合や、サビ管の急な欠員リスクに備える場合は、以下のような外部リソースの活用が有効です。

  • クラウド型の記録・スケジュール管理システムによる期限の自動通知
  • 法定研修管理と併せたSaaSでの一元管理
  • 加算取得・運営基準遵守を専門とするコンサルタントの定期チェック

まとめ

  • 個別支援計画未作成減算は、未作成期間に応じて所定単位数の95%(3ヶ月目まで)、70%(4ヶ月目以降)に減算される
  • 未作成の主因はサビ管の多忙・兼務・属人的な期限管理にある
  • 作成〜モニタリングまでの法定プロセスを逆算し、一覧表とリマインドで可視化することが防止策の基本
  • ICTツールや外部コンサルの活用で、属人化を解消し継続的な運営基準遵守を実現できる

出典

この記事で扱う制度・報酬の一次資料です。数値や要件は公開時点のものなので、最新の内容は原典でご確認ください。

  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号)新旧対照表」 https://www.mhlw.go.jp/content/000789565.pdf
  • デジタル庁 e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)e-Gov法令検索」 https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171