まず確定値を押さえる

共同生活援助(障がい者グループホーム)の医療系の報酬は、告示第523号に単位数が、告示第551号に施設基準が置かれています。関係するのは次の2本です。

加算単位数医療職の確保の仕方
看護職員配置加算70単位/日看護職員を常勤換算1以上配置
医療連携体制加算(Ⅶ)39単位/日自事業所の職員、または外部機関との連携で看護師を1名以上確保

参考までに、医療連携体制加算は(Ⅰ)32/(Ⅱ)63/(Ⅲ)125/(Ⅳ)800・500・400/(Ⅴ)500/(Ⅵ)100/(Ⅶ)39 単位/日という構成です。(Ⅶ)は「体制を整えたこと」を評価する区分で、日々の看護の提供そのものを評価する(Ⅰ)〜(Ⅳ)とは性格が違います。

併算定のルールは「利用者単位」

看護職員配置加算を算定している利用者については、医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)および(Ⅶ)を算定できません。 事業所単位ではなく利用者単位の制限なので、同じ事業所の中で利用者ごとに取り方が分かれることはあり得ます。

一方、(Ⅵ)100単位/日は看護職員配置加算と併算定できます。「二者択一」と決めつける前に、自事業所の利用者が(Ⅵ)の対象に当たらないかを確認してください。

要件の違いはどこにあるか

看護職員配置加算

  • 看護職員を常勤換算で1以上配置すること。常勤の「看護師」に限定されていません

医療連携体制加算(Ⅶ)(告示第551号 十六リ)

  1. 事業所の職員として、または病院・診療所・訪問看護ステーション等との連携により看護師を1名以上確保していること
  2. 看護師により24時間連絡できる体制を確保していること
  3. 重度化した場合の対応指針を定め、入居の際に利用者本人または家族へ説明し、同意を得ていること

(Ⅶ)は「自前で雇うこと」を求めていません。訪問看護ステーション等との連携でも満たせる点が、人材確保が難しい事業所にとって現実的な選択肢になります。

収支の比べ方(計算過程)

10人が30日利用する事業所を例に、1単位10円と仮定して並べます(単位単価は地域区分で異なるため、必ず自事業所の単価に置き換えてください)。

  • 看護職員配置加算:70単位/日 × 10人 × 30日 = 21,000単位/月 → 210,000円/月
  • 医療連携体制加算(Ⅶ):39単位/日 × 10人 × 30日 = 11,700単位/月 → 117,000円/月
  • 差額:70 − 39 = 31単位/日 → 31 × 10 × 30 = 9,300単位/月(93,000円/月・年間約111.6万円)

判断は単価差だけでは決まりません。次の引き算で比べます。

  • 看護職員配置加算を選ぶ場合:210,000円 −(常勤換算1以上の看護職員の人件費。社会保険料・通勤費・採用費を含む実額)
  • 医療連携体制加算(Ⅶ)を選ぶ場合:117,000円 −(連携先へ支払う委託費・協力費の実額)

人件費も委託費も地域と条件で大きく変わるため、ここに一般的な相場を当てはめると判断を誤ります。自事業所の見積書・求人条件の実額を入れて比べてください。 差額9.3万円/月が常勤換算1人分の人件費を上回るかどうかが、最初の分かれ目になります。

東京都の事業所は3つ目の軸がある

東京都には精神科医療連携体制加算(都加算)330円/日があります。ここで注意したいのが併給制限です。

看護職員配置加算または医療連携体制加算(Ⅶ)を東京都に届け出ている事業所は、都加算を算定できません。

  • 都加算:330円/日 × 10人 × 30日 = 99,000円/月

つまり東京都では「看護職員配置加算」「医療連携体制加算(Ⅶ)」「都加算」の3択になります。都加算の要件は看護職員の配置ではなく、精神科医療機関との月1回以上の連携と記録の保存なので、精神障害のある方が中心の事業所では収支面でも運用面でも有力な選択肢になり得ます。都の要件は年度で改定されるため、東京都の資料で最新版を確認してください。

変更するときに見落としやすい点

  • 届出の効力が発生する時期は指定権者ごとに扱いが異なります。事前に締切と適用開始月を確認してください
  • 看護職員配置加算から(Ⅶ)へ移る場合、連携先との契約書に「24時間連絡できる体制」と「看護師の確保」が明記されているかを確認します
  • (Ⅶ)の3つ目の要件である重度化時の対応指針は、既入居者への説明と同意の記録が残っているかが論点になりやすい部分です
  • 途中で加算を切り替えると、利用者負担額も変わります。変更前に本人・家族へ説明する段取りを組んでください

まとめ

  • 看護職員配置加算70単位/日、医療連携体制加算(Ⅶ)39単位/日。差は31単位/日
  • 併算定の制限は利用者単位。看護職員配置加算を算定する利用者は(Ⅰ)〜(Ⅳ)・(Ⅶ)が算定不可、(Ⅵ)は併算定可
  • (Ⅶ)は外部機関との連携で看護師を確保する形でも満たせる
  • 収支は「加算収入 − 自事業所の実際の人件費/委託費」で比べる。相場の当てはめは避ける
  • 東京都では都加算との併給制限があり、3択として検討する

出典